『日常生活から学ぶ社労士』シリーズ(第5回)

有給休暇(年次有給休暇)の○×問題|解答とやさしい解説

こちらの記事では、「有給休暇(年次有給休暇)」について出題した10問の○×問題の解答と解説をまとめています。
労働基準法に基づいた基本的なルールを、なるべく日常感覚に近い言葉で整理しています。

■ 有給休暇に関する問題一覧(10問)


  • Q1. 有給休暇は、パートやアルバイトでも一定条件を満たせば取得できる。
  • Q2. 入社から6か月経過すれば、どれだけ欠勤があっても必ず有給休暇をもらえる。
  • Q3. 有給休暇は、会社が「今日は忙しいからダメ」と言えば自由に拒否できる。
  • Q4. 会社は、有給休暇の取得日を別の日に変更させることができる。
  • Q5. 有給休暇中は、通常の賃金と同じ金額を受け取る必要がある。
  • Q6. 正社員とパートでは、有給休暇の日数が必ず違う。
  • Q7. 半休(午前だけ休み・午後だけ休み)は、法律で認められている制度である。
  • Q8. 子供の行事や通院のために有給休暇を使うのは法律的に問題ない。
  • Q9. 会社が「有給休暇は買い取りで消化して」と言った場合、すべての年休について買い取りは可能である。
  • Q10. 有給休暇を取得したことを理由に、会社が不利益な扱いをするのは禁止されている。

Q1. 有給休暇は、パートやアルバイトでも一定条件を満たせば取得できる。

正解:○

年次有給休暇は、正社員だけでなく、パートやアルバイトにも付与されます。
条件は「継続勤務6か月以上」かつ「全労働日の8割以上出勤」です。
パートの場合は、週の所定労働日数に応じて付与日数が「比例付与」されます。


Q2. 入社から6か月経過すれば、どれだけ欠勤があっても必ず有給休暇をもらえる。

正解:✖️

6か月経過しただけでは有給休暇は発生しません。
「継続勤務6か月」+「8割以上出勤」という2つの条件を両方満たす必要があります。
欠勤が多く、出勤率が8割を下回る場合は、有給休暇が付与されないことがあります。


Q3. 有給休暇は、会社が「今日は忙しいからダメ」と言えば自由に拒否できる。

正解:✖️

有給休暇は「労働者の権利」であり、会社は原則として自由に拒否することはできません。
会社に認められているのは「時季変更権」といって、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、
有給休暇を別の日に変更することができる権利のみです。
単に「忙しいから」という理由だけで一方的に拒否することは認められていません。


Q4. 会社は、有給休暇の取得日を別の日に変更させることができる。

正解:○

Q3の補足として、会社には「時季変更権」があります。
ただし、これは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます。
代わりの人員をどうしても確保できない、ラインが止まってしまうなど、かなり強い支障があるケースです。
単なる繁忙期や「みんなが休みたがっているから」程度では、本来は認められにくいとされています。


Q5. 有給休暇中は、通常の賃金と同じ金額を受け取る必要がある。

正解:✖️

有給休暇中に支払う賃金は、労働基準法で以下のいずれかと定められています。

  • 平均賃金
  • 所定労働時間の通常の賃金
  • 健康保険法の標準報酬日額

多くの会社では、実務上「通常の時給(または日給)」と同額を支払っていますが、
必ずしも「通常賃金と同じ」でなければならないわけではないため、設問は✖️になります。


Q6. 正社員とパートでは、有給休暇の日数が必ず違う。

正解:✖️

有給休暇の日数は、「正社員かパートか」ではなく、所定労働日数や勤続年数によって決まります。
パートでも週の勤務日数が正社員と同じであれば、同じ日数の有給休暇が付与される場合があります。
「必ず違う」とは言えないため、この設問は✖️です。


Q7. 半休(午前だけ休み・午後だけ休み)は、法律で認められている制度である。

正解:✖️

法律(労働基準法)で明文化されているのは「1日単位の年休」と「時間単位年休(導入した場合)」です。
「午前だけ」「午後だけ」といった半日年休は、法律上の義務ではなく、会社が就業規則などで
任意に制度を設けているものです。
そのため、「法律で認められている制度」とまで言うと正しくないため✖️となります。


Q8. 子供の行事や通院のために有給休暇を使うのは法律的に問題ない。

正解:○

年次有給休暇は、原則として理由を問わず自由に取得できる休暇です。
子どもの参観日、行事、通院、家庭の用事、単純に「休みたい」でも構いません。
会社が理由を制限したり、「この理由ではダメ」とすることはできません。


Q9. 会社が「有給休暇は買い取りで消化して」と言った場合、全ての年休について買い取りは可能である。

正解:✖️

年次有給休暇の買い取りは、原則として禁止されています。
例外として認められるのは、

  • 退職時に残っている有給休暇を買い取る場合
  • 時効(2年)が近づいている分を会社が任意に買い取る場合

などに限られます。
「消化が面倒だから最初から全部買い取りで」という運用は、法律の趣旨に反するため✖️です。


Q10. 有給休暇を取得したことを理由に、会社が不利益な扱いをするのは禁止されている。

正解:○

年次有給休暇を取得したことを理由に、

  • 昇給・昇格をさげる
  • 賞与を減らす
  • シフトを極端に減らす
  • 嫌がらせ・配置転換などを行う

といった不利益な取り扱いをすることは、法律の趣旨に反します。
有給休暇は「当然の権利」であり、取得したこと自体をマイナス評価することは認められていません。


■ まとめ

  • 有給休暇は正社員だけでなく、パート・アルバイトにも発生する。
  • 「6か月勤務+8割出勤」が付与の基本条件。
  • 会社は原則として有給を拒否できず、時季変更権は例外的な手段。
  • 買い取りは原則禁止で、退職時や時効分などに限られる。
  • 有給取得を理由とした不利益な取り扱いは禁止されている。

日常の働き方に深く関係する「有給休暇」のルールを知っておくことで、
自分や家族の時間を大切にしながら、安心して働くための手助けになります。

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