試験形式・合格基準とおすすめ勉強法まとめ
社会保険労務士(社労士)は、労働法や年金・社会保険制度の専門家として活躍する国家資格です。
働き方改革や少子高齢化、人手不足といった社会の変化により、企業の「人」と「労務」を支える専門家として注目度が高まっています。
一方で、
「何から勉強を始めればいいのか分からない」
「試験の仕組みや合格ラインがよく分からない」
と感じる人も多いと思います。
このページでは、社労士試験の形式・合格基準と、初学者向けの勉強の進め方をまとめて解説します。
■ 社労士試験で扱う10科目
社労士試験は、大きく10科目から構成されています。
【労働関係法令(5科目)】
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
- 労災保険法
- 雇用保険法
- 労働一般常識
【社会保険関係法令(5科目)】
- 健康保険法
- 国民年金法
- 厚生年金保険法
- 労働保険徴収法
- 社会保険一般常識
内容は幅広いものの、いずれも残業代・有給休暇・失業給付・出産育児・年金など、日常生活や仕事に直結したテーマが中心です。
■ 試験の形式:選択式と択一式
社労士試験は、年に1回実施される筆記試験のみで、「選択式試験」と「択一式試験」の2つで構成されています。
選択式試験
- 穴埋め形式の試験
- 1問5点 × 8科目 = 合計40点満点
- 条文や通達の一部が空欄になっており、適切な語句を選ぶ問題
択一式試験
- 5択問題のマークシート方式
- 各科目10点(1問2点 × 5問) × 7科目 = 合計70点満点
- 問題数が多く、試験時間も長い(3時間半)
■ 合格基準:総得点と科目別の基準点(足切り)
社労士試験の特徴は、「全体の点数」だけでなく「科目ごとの最低点」も決まっていることです。どれか1科目でも基準点を下回ると、その時点で不合格になります。
1. 科目別の基準点(足切り)
- 選択式:各科目 5点満点中 3点以上
- 択一式:各科目 10点満点中 4点以上
年度によっては救済措置が入り、一部科目が「2点以上」「3点以上」でよい年もありますが、基本的には上記が目安になります。
どれだけ他の科目で高得点を取っても、1科目でも基準点を下回ると不合格になるため、「苦手科目を作らない」ことが非常に重要です。
2. 全体の合格基準点
- 選択式:総得点 40点満点中 おおよそ24点前後
- 択一式:総得点 70点満点中 おおよそ44点前後
合格点は相対評価で毎年変動しますが、おおよそこのあたりが目安です。
つまり、「科目ごとの足切りをクリアしつつ、全体としても一定以上の得点を取る」必要があります。
3. 合格率の目安
社労士試験の合格率は、例年5〜7%程度です。
難関資格ではありますが、科目ごとの対策と過去問演習を積み重ねれば、十分に合格を狙えるレベルです。
社労士試験の10科目はこうやって勉強するのがおすすめです
社労士試験は、労働関係法令・社会保険関係法令あわせて10科目ありますが、はじめての方がいきなり全部を並列で勉強しようとすると、ほぼ確実に挫折してしまいます。
ここでは、これから勉強を始める人向けに、「何から・どの順番で」学べばよいかという学習ロードマップを示します。
🔰 まず最初に取り組むべき科目(基礎をつくる3科目)
はじめての人は、次の3科目から学ぶと理解が一気に進みます。
① 労働基準法
- 残業代・有給休暇・休日・休憩など、日常生活でイメージしやすいテーマが多い
- 「法律の読み方」を練習する最初の科目として最適
② 雇用保険法
- 失業給付など、身近な制度が多い
- 条文構造が比較的シンプルで、条文の流れをつかみやすい
③ 労災保険法
- 業務災害・通勤災害など、イメージしやすい内容が多い
- 暗記量も極端に多くなく、早めに得点源にしやすい
👉 この3科目までで、「条文の読み方」や「試験問題のパターン」に慣れ、勉強のウォーミングアップが完了します。
🧩 次に取り組むべき科目(実力を伸ばす3科目)
基礎ができたら、少しボリュームの多い「社会保険系」に進みます。
④ 健康保険法
- 医療保険として生活との結びつきが非常に強い分野
- 条文・数字・給付内容が多く、時間をかけてじっくり学ぶ必要がある
⑤ 国民年金法
- 年金の入口となる科目で、まずはここから年金の基本構造を理解する
- 厚生年金とリンクさせながら学ぶと、全体像がつかみやすい
⑥ 厚生年金保険法
- 国民年金法とセットで学ぶことで理解が深まる
- 会社員・公務員の年金として、実務でも重要な分野
👉 ここまで終了すると、「社会保険の全体像」がかなりクリアになります。
🎓 最後に勉強すべき科目(仕上げの4科目)
残りの4科目は、試験対策としては「最後にまとめてやる」のが効率的です。
⑦ 労働安全衛生法
- 用語や数値など細かい暗記項目が多く、最初にやると挫折しやすい
- 試験直前期に、頻出ポイントを中心に一気に暗記する戦略が有効
⑧ 労働保険徴収法
- 保険料計算など、ややテクニカルな内容が多い
- 出題パターンが決まっているので、演習を重ねれば安定して得点できる
⑨ 労働一般常識
⑩ 社会保険一般常識
- 判例・統計・白書・時事問題など、出題範囲が非常に広い
- 他の科目の基礎ができてから、過去問・予想問題を中心に直前期に仕上げるのがおすすめ
👉 一般常識は「最初から完璧を目指さない」のがポイントです。他の科目の基礎が固まってから、過去問+最新情報で一気に仕上げていきます。
✅ 10科目を3ステップで学ぶロードマップ
まとめると、社労士試験の10科目は次の3ステップで進めるのがおすすめです。
【STEP1(基礎固め)】
- 労働基準法
- 雇用保険法
- 労災保険法
→ イメージしやすく、勉強のウォーミングアップに最適な3科目です。
【STEP2(実力アップ)】
- 健康保険法
- 国民年金法
- 厚生年金保険法
→ 勉強量は増えますが、生活との結びつきが強く、しっかり学べば得点源になります。
【STEP3(仕上げ)】
- 労働安全衛生法
- 労働保険徴収法
- 労働一般常識
- 社会保険一般常識
→ 暗記色の強い科目や一般常識は、直前期に過去問とテキストで一気に仕上げるのが効率的です。
「10科目もあって何から手をつければいいのか分からない…」という方は、まずはこのロードマップに沿って、STEP1の3科目から始めてみてください。
■ 一般的におすすめされる勉強法
(1)市販テキストで全体像をつかむ
最初から細部まで覚えようとせず、まずは「どんな科目があり、どんな内容が出るのか」という全体像をつかむことが大切です。
1周目のテキストは、細かい部分は読み飛ばしながら「ざっと通してみる」イメージで構いません。
(2)過去問を繰り返し解く
社労士試験は、過去問の重要性が非常に高い試験です。
同じテーマ・同じ論点が形を変えて何度も出題されるため、過去問を5〜10周程度繰り返す受験生も少なくありません。
(3)関連づけて覚える
単純暗記ではなく、「どの法律の話か」「どの給付の話か」を意識しながら覚えると定着しやすくなります。
- 有給休暇 → 労働基準法
- 育児休業 → 雇用保険法+育児・介護休業法
- 老齢・障害・遺族 → 年金(国民年金・厚生年金)
(4)毎日少しずつ触れる
1日1時間まとめて勉強するのが難しい場合でも、
通勤時間・家事の合間・寝る前の20〜30分など、短い時間で良いので毎日テキストや問題に触れる習慣をつけると、記憶が定着しやすくなります。
(5)アウトプットを意識する
読むだけ・聞くだけよりも、問題を解く・ノートにまとめる・人に説明してみるといったアウトプットを行うことで、理解が深まり、忘れにくくなります。
■ 試験範囲を網羅するためのポイント
✔ 労働基準法は最重要科目
労働時間・割増賃金・休憩・有給休暇など、他の科目にもつながる基礎となる内容が多いため、早めに土台を固めておくと全体の理解が楽になります。
✔ 社会保険科目は早めに着手する
健康保険法や年金関係(国民年金・厚生年金)は暗記量が多く、直前期だけで仕上げるのは困難です。
早い段階から少しずつ繰り返し触れておくことが合格への近道です。
✔ 一般常識は「最後に整える」イメージで
労働一般・社会保険一般は出題範囲が広いため、まずは基礎科目(労基法・雇用・社保)で得点源を作ってから、徐々に広げていくのがおすすめです。
✔ 科目ごとの「足切り対策」を忘れない
社労士試験は、どれか1科目でも極端に低いと不合格になる試験です。
得意科目を伸ばすことも大事ですが、苦手科目を「基準点は確実に超えるレベル」まで底上げすることも同じくらい重要です。
■ まとめ
- 社労士試験は、労働法・社会保険を中心とした10科目から構成される国家資格。
- 試験は「選択式」と「択一式」の2本立てで、総得点+科目別の基準点を両方クリアする必要がある。
- 合格率は5〜7%と低いが、過去問演習と基礎固めを徹底すれば十分に合格が狙える。
- 勉強は、労働基準法から始め、雇用保険 → 労災 → 社会保険 → 一般常識の順で広げていくとスムーズ。
- 毎日少しずつでも継続し、アウトプット(問題演習・まとめ)を意識することが合格への近道。
社労士試験は決して簡単ではありませんが、学んだ知識は自分自身の働き方や家族の生活を守るうえでも大きな武器になります。
試験制度と勉強の進め方を押さえたうえで、自分のペースで一歩ずつ進めていきましょう。


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