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労災保険の○×問題10問|解答と解説

この記事では、労働者災害補償保険法(労災保険)についての少し難しめの○×問題10問の解答と解説をまとめています。
業務災害・通勤災害・給付の内容など、試験でも実務でも重要なポイントを整理します。


■ 労災保険(業務災害・通勤災害)に関する問題一覧(10問)


  • Q1. 業務中の怪我であっても、労働者の重大な過失がある場合は、労災保険の給付を受けられない。
  • Q2. 通勤中にコンビニへ立ち寄った後に転倒した場合、その立ち寄りが日常生活上必要なものであれば通勤災害として認められることがある。
  • Q3. 「業務災害」と認められるためには、業務遂行性と業務起因性の両方を満たす必要がある。
  • Q4. 自転車で自宅から会社へ向かう途中、私用で大きく迂回した場合でも、通勤災害として必ず認められる。
  • Q5. 労災保険の療養補償給付(治療費)は、労働者本人に立替払いをさせて後から給付される仕組みである。
  • Q6. 労働者が業務上の怪我で休業した場合、初日の休業から休業補償給付が支給される。
  • Q7. 過労死や脳・心臓疾患による労災認定では、発症前の一定期間に時間外労働の基準(いわゆる過労死ライン)が用いられる。
  • Q8. 通勤災害として認められるのは、最短経路・最短時間で通勤している場合に限られる。
  • Q9. 会社の運動会での負傷は、業務災害として認められる可能性がある。
  • Q10. 労災保険の給付は全額非課税であり、休業補償給付にも所得税はかからない。

Q1. 業務中の怪我であっても、労働者の重大な過失がある場合は、労災保険の給付を受けられない。

正解:✖️

労災保険は「無過失補償」が原則です。
労働者に不注意や重大な過失があったとしても、原則として労災保険の給付は行われます。
一部の給付(障害補償給付など)で減額される可能性はありますが、「給付を一切受けられない」というわけではありません。


Q2. 通勤中にコンビニへ立ち寄った後に転倒した場合、その立ち寄りが日常生活上必要なものであれば通勤災害として認められることがある。

正解:○

通勤災害に該当するためには、合理的な経路・方法での通勤であることが必要ですが、
通勤途中に行う「日常生活上必要な行為」(飲食物の購入、トイレ、ATMなど)であれば、その前後も通勤と認められる場合があります。
したがって、内容や時間・経路から見て常識的な範囲であれば、コンビニ立ち寄り後の事故も通勤災害として扱われる可能性があります。


Q3. 「業務災害」と認められるためには、業務遂行性と業務起因性の両方を満たす必要がある。

正解:○

業務災害の判断では、

  • 業務遂行性:事業主の支配下で業務に従事していたか
  • 業務起因性:その業務が原因となって災害が発生したか

という2つの要件を満たすかどうかが重視されます。
どちらか一方だけでは足りず、両方が認められて初めて業務災害とされます。


Q4. 自転車で自宅から会社へ向かう途中、私用で大きく迂回した場合でも、通勤災害として必ず認められる。

正解:✖️

通勤災害として認められるためには、「合理的な経路および方法」であることが必要です。
大きく迂回して私用目的で通行していた場合、その区間は通勤とは認められないことがあり、
事故がその区間で発生した場合は通勤災害として扱われない可能性があります。
したがって、「必ず認められる」という表現は誤りです。


Q5. 労災保険の療養補償給付(治療費)は、労働者本人に立替払いをさせて後から給付される仕組みである。

正解:✖️

労災保険の療養補償給付は、原則として現物給付です。
労災指定病院・診療所であれば、窓口での支払いは不要で、病院側が労災保険に請求します。
やむを得ずいったん自費で支払った場合に、後から費用償還を受けるケースはありますが、仕組みとして「立替払い前提」ではありません。


Q6. 労働者が業務上の怪我で休業した場合、初日の休業から休業補償給付が支給される。

正解:✖️

労災保険の休業補償給付が支給されるのは休業4日目以降です。
休業1〜3日目は、労働基準法上、事業主に休業補償(平均賃金の60%)を支払う義務があります。
つまり、

  • 第1〜3日目:会社負担(休業補償60%)
  • 第4日目以降:労災保険から休業補償給付(給付基礎日額の60%)

という役割分担になっており、「初日から労災給付が出る」という理解は誤りです。


Q7. 過労死や脳・心臓疾患による労災認定では、発症前の一定期間に時間外労働の基準(いわゆる過労死ライン)が用いられる。

正解:○

脳・心臓疾患の労災認定では、発症前の時間外労働時間などが重要な判断要素となります。
一般に、

  • 発症前1か月に概ね100時間超の時間外労働
  • 発症前2〜6か月にわたり、月80時間超の時間外労働

などが「過労死ライン」として用いられます。
これはあくまで目安ではありますが、認定実務上、非常に重要な指標です。


Q8. 通勤災害として認められるのは、最短経路・最短時間で通勤している場合に限られる。

正解:✖️

通勤災害に必要なのは「合理的な経路・方法」であり、「最短」であることまでは求められていません。
多少遠回りでも、

  • 交通量が少なく安全な道
  • 多くの人が通勤で利用している一般的な経路

などであれば認められることが多いです。したがって「最短経路に限られる」というのは言い過ぎです。


Q9. 会社の運動会での負傷は、業務災害として認められる可能性がある。

正解:○

会社の運動会や社員旅行などの行事での災害は、参加の任意性・業務との関連性などを総合的に見て判断されます。
例えば、

  • 会社主催で、勤務の一部として位置づけられている
  • 参加が事実上義務とされている
  • 業務の一環として開催されている

といった場合には、業務災害と認められる可能性があります。


Q10. 労災保険の給付は全額非課税であり、休業補償給付にも所得税はかからない。

正解:○

労災保険から支給される各種給付(療養補償給付・休業補償給付・障害補償給付・遺族補償給付など)は、所得税がかからない非課税所得とされています。
休業補償給付も同様で、受け取っても課税されません。


■ まとめ

  • 労災保険は「無過失補償」が原則であり、重大な過失があっても原則として給付は行われる。
  • 通勤災害では「合理的な経路・方法」「日常生活上必要な行為」がキーワードになる。
  • 休業補償給付は4日目以降。1〜3日目は会社の休業補償が必要。
  • 会社行事や過労死など、業務との関連性の判断が難しいケースは、要件整理が重要。
  • 労災給付は非課税である点も含めて、試験・実務の双方で押さえておきたいポイント。

労災保険は、試験ではもちろん、実際の働き方を考えるうえでも重要な分野です。
今回の10問を通して、業務災害・通勤災害・給付の仕組みをあらためて整理しておきましょう。

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